? メールマガジン2011年04月号|エコニティは低価格の設備管理システム、設備点検システムを提供し、工場や施設の設備管理業務を支援します。

メールマガジンバックナンバー

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□■ エコニティ メールマガジン □■ 2011年4月号
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 ◎ 目次                
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1.設備情報管理のポイント(第40回)特別編
2.「北海道のうまいもん」(第38回)~生ら'フロマージュ~
3.エコニティからのお知らせ
  ・Windows7 64bit版の「点検管理の匠」について
4.編集後記

まず、このたびの震災で被災された方々には、心よりお見舞い申し上げます。
被災地の状況を見るにつけ、あまりの惨状に言葉もありません。
このメールマガジンをお読みの方の中にも、公私にわたって被害にあわれた方
もいらっしゃるかと思いますが、被害最小限で、一日も早く復興の道が見えて
くるように祈らずにはいられません。
私どもエコニティは幸い特に目立った被害もありませんでしたが、これから自
分達に何ができるのか、何をすべきなのを考えながら行動していきたいと思っ
ています。


―――――――――――――――――――――――――――――――――――
  1.設備情報管理のポイント(第40回)特別編
―――――――――――――――――――――――――――――――――――

今回は申し訳ありませんが、通常の「設備情報管理のポイント」はお休みさせ
ていただきます。
特別編ということで、このたびの震災関連で大変ショックだったことを書かせ
ていただきたいと思います。
現在も危機的な状況が続いております、福島第一原発の件です。

各種報道を見るにつけ、福島第一原発の、そしてもしかすると原子力発電所そ
のもののリスクマネジメントのあり方に愕然としています。
これは一般的な設備管理の場面にも多少参考になりそうなので、どんな点を問
題と感じたのかをご紹介させていただきます。

なお、このメールマガジンをお読みの方の中に福島第一原発に何らかの形で関
係している方がいらっしゃるかもしれません。
その方の目から見ると、本稿には事実誤認がある、推論方法の問題がある、
とお感じになるかもしれません。
そのようにお感じになる方がいる場合には、大変申し訳ありませんが、当方で
現在入手可能な範囲でのニュースソースに基づいて推論を組み立てた、一つの
私見ということでご容赦ください。
また、本稿は特定団体、特定個人に対して問題を糾弾しようという試みではあ
りませんので、その点もご承知願えればと思います。

さて、以前本稿で、リスクマネジメントは

1)リスクを把握・特定する
2)リスクを評価する
3)(予防)対策を講じる
4)(事後)対策を行う

というプロセスである、とご紹介いたしました。
今回の事態をみると、原子力発電所では、

・3)の予防対策はある程度行ってきたものの、4)の事後対策が非常に脆弱で
  あったのではないか

・リスクの再把握、再評価や、それに基づいた対策のブラッシュアップが十分で
 あったのか

このような疑問を感じています。

そもそも、政府や東京電力は原発のリスクをどのように評価してたのでしょうか?
主に政府の視点で推測してみます。


リスクの「評価」とは

「発生頻度×影響度(損害金額)」

で示すことができます。
では、原発の重大事故の発生頻度はどうとらえればよいでしょうか?

2004年11月22日付け『毎日新聞』に、「原発:耐震性に1000倍の差 原子
力安全基盤機構が試算」がという掲載されているようです。
(原典にはあたっていないのでご了承ください。インターネット上の複数の
情報の二次情報です。)

その情報によると、原子力安全基盤機構が2003年に「確率論的手法を用いた
設計用地震動の作成手法の整備に関する報告書」を出していて、その中で地震
によって重大事故が発生する確率を確率論的安全性評価(PSA)によって計算
しています。
3原発のモデルが出ているようですが、運転時間40年に対して、地震により
重大事故が起こる確率は、

・A施設:10万分の1.71(年当たり約0.00004%)
・B施設:10万分の449(年当たり約0.01%)
・C施設:10万分の2370(年当たり約0.06%)

と試算しています。
ちなみにIAEAでは新設炉で年当たり0.001%、既設炉で0.01%を安全の目標とし
ているようです。
(ちなみにA施設のモデルは福島第一原発と同定されているようです。皮肉な
ことですが。)

このことから分かるのは、原子炉によって発生確率はバラツキがあり、少なく
とも日本の原発はIAEAの目標値よりも重大事故発生確率が高くなる可能性があ
る、ということが言えると思います。
仮にIAEAの既設炉基準は満たしていると仮定して年当たり重大事故の発生確率
を0.01%とします。
運転時間の想定は40年と計算しているようなので、
単純計算で0.4%、これが日本には54基あるので、和事象として考えると、確率
的には40年で20%もの重大事故の確率がある、という計算となります。
原子力発電所ができた時期が違うので、仮にそのバラツキを考慮し確率を半分
として10%です。
(なお、これは地震の確率のみなので人為的な事故、その他の事故については
考慮されていません)

次に、影響度(損害金額)です。
実は政府が1960年にすでに影響度を試算しています。

「大型原子炉の事故の理論的可能性及び公衆損害額に関する試算」

という報告書です。(1999年まで公になっていなかったようですが)

原田裕史さんという方がHTML化していて、下記アドレスで内容がご覧になれます。
http://homepage3.nifty.com/h-harada/nonuke/lib/sisan/hyosi.html

それによると、当時の金額で3.7兆円もの被害金額を想定していたようなのです。
今の価値に換算するのはなかなか難しいのですが、
(当時の国家予算が1.7兆円、消費者物価指数は今の1/4~1/6)、
恐らく現在の価値に換算すると少なくとも20~30兆円以上と考えてよいの
ではと思います。

一方で、2006年に経済産業課の名前で次のレポートが出ています。

「原子力発電所の地震対策」

国会図書館にソースがあります。

http://www.ndl.go.jp/jp/data/publication/issue/0515.pdf

その中には、福井県大飯発電所3号機で大規模な放射能漏れ事故を起こした場
合の例として、平均で62.1兆円、風向きによっては266.6兆円にもなる可能性
があると記載しています。

これらを勘案すると、政府で最悪の事態の被害金額としては50兆円程度の総額
を考えていても、おかしくないということが言えると思います。

なお、これらの事例で計算しているのは「物的」「人的」被害という想定なの
で、経済活動に与える影響、例えば今回のように海外への輸出の影響、電力不
足による影響などは勘案されていないものと思います。
また、事態、収束後の経年の管理(恐らく何十年かに及ぶ)についてもそれほ
ど考慮していないと思われます。
それらを考えるとさらに莫大な影響を与える可能性がある、ということになり
ますが、ここではとりあえず無視します。

この前提により、リスク評価をしてみると、
日本国内で40年間に原子力発電所の重大事故が発生する、という事象に対する
リスク評価は

10%×50兆円=5兆円

という金額になります。
この5兆円という評価金額をどのように考えるのかは人によると思いますが、
東京電力の年間売上高が5兆円であることを考えると、1民間企業どころか国家
であっても簡単に扱えるような額ではないものと思います。

仮に、原子力発電所によって得られるリターンが莫大なものであったとしても、
慎重に取り扱うべき大きなリスクであると政府、そして東京電力が考えていた
ということ自体は間違いないものと思います。

にもかかわらず、今回の事態を見ていると疑問が浮かんできます。
福島第一原発で、設計上、非常に安全性を考慮していたことは確かだと思います。
今回の震災で有効であったかは別にして、何重かの予防対策を行っていたこと
は、各種情報から確認できます。つまり、予防対策は行ってたのです。
しかし、設計に対する安心感のためなのか、まるで重大事故は絶対に起こらな
いと半ば以上信じていたように見えるのです。
そのため、二つ大きな問題が見えてきます。

第一の問題は、事故発生時の事後対策が考えられていたのか、という点です。
今まで書いてきた通り、原発は非常に高いリスク金額が想定されます。
避けることが望ましいのですが、リスク金額はゼロにはなっていません。
となると、一旦事故が発生した場合に、できるだけそれを最小にするための
リスクマネジメントも欠かすことができないはずです。
しかし、東京電力や政府は事故発生を前提とした十分なシナリオができていな
かったのではと考えられる節があります。
これは、以下の(1)~(5)で検討してます。
(少なくとも事故対処・復旧シナリオはできていなかったのではいか、
ということです。事故に関係して別のシナリオがあったようにも感じますが、
それは本稿の趣旨ではありませんのでここでは触れません)


第二の問題は、実はこの事故以前に、リスクをより小さくするための日々の
行動も十分ではなかったのでは、という点です。
以前本稿でも記載しましたが、「レビュー」をしてリスクを再把握、再評価に
結び付けるべきはずなのですが、そうした活動が十分なされていなかったので
はないかということです。
これは(6)で取り扱います。

それでは、具体例をあげながらご説明します。

(1)事故発生後の指揮系統の混乱

各種報道と資料を見る限りでは、福島第一原発、事故発生後の指揮系統にかな
りの混乱があるように思えます。
実は、事故発生後の政府の対応は比較的早く、3月11日19:03の時点で、原子力
緊急事態宣言を発令しています。
これにより、原子力災害対策本部を作り、事故対応が内閣総理大臣の指揮下で
一元化されてもおかしくなかったものと思います。

しかし、特に官邸と東京電力側での意思疎通、対策をどちらが決定するのかと
いう点に、混乱があったようです。
実際、東京電力からもたらされる情報に問題があると考えたのか、15日早朝に
「福島原子力発電所事故対策統合本部」を東京電力本社設置しています。

http://www.yomiuri.co.jp/politics/news/20110315-OYT1T00118.htm
(読売新聞記事より)

つまり、少なくともそれまで対策の主体は東京電力側だったと推定されます。
そして、この初動の数日間の間に自体が急激に悪化して言ったことは皆さんも
ご存じの通りだと思います。
残念ながら東京電力は民間営利企業なので、対処の主体となっている際、
無意識にでも自社利益を考え、状況判断が甘くなる可能性もあったのではと思
います。(実際にどうであったかは別にして)

ですから、原子力緊急事態宣言の発令時点で政府の指揮下に一元化し、専門の
対策チームが事故処理を指導するべきであったのでは、と思います。

ただ実際には、政府の側にも事故に対処できる能力があったのかどうか、
という問題も当然あります。
官邸、経済産業省(原子力安全・保安院)、防衛省、厚生労働省、
文部科学省などそれぞれがバラバラに動いていたのではないか、
と思われる報道がその当時頻繁に出てきました。

東京電力側も政府側も原子力緊急事態宣言を出すまでの初動は、
法律に基づいて対処できていたかもしれません。
しかし、その後、誰が現場の事故対策の責任を負うのか、体制をどうするか、
十分に検討し、シナリオ化できていなかったのではないでしょうか。


(2)事故後の対処シナリオの不在

「(1)」でも書きましたが、事故が発生してからどのように対処するのか、
どうやって被害を最小限に食い止めるのか、そのシナリオが十分にできていな
かったように思います。
個々の担当者ベースではある程度できていたのかもしれませんが、少なくとも
全体のリスクマネジメントの観点で、有機的な対応はなされていなかったよう
に思います。

例えば、今回の根本的問題は、電源にあることは明らかです。
電力供給ができなくなった結果、燃料を冷やすことができない、というところ
に大本の問題にあります。
ところが、電源が全て失われた場合にどうするのか、ということが少なくとも
今回はいきあたり、ばったりとしか思えませんでした。

震災当時、電源車が原発に向かっているという報道をご覧になった方は多いと
思います。
実際に政府の資料でも、11日深夜から12日早朝にかけて電源車が何台か到着し
たという記録があります。
しかし、最終的には何らかの原因で(プラグが合わなかったという未確認の
報道あり)、結局、電源車から給電されることはなかったようです。
つまり電源車の急行は意味がなかったということだと思います。

さらに言えば、根本が電源であれば11日深夜の時点でどうして電源復旧作業に
着手しなかったのでしょうか?
実際に電源復旧作業にかかったのは報道によると17日からです。

http://www.news24.jp/articles/2011/03/17/06178606.html
(日テレニュースより)

電源復旧作業を平時に行うとすれば半日程度だと聞いたように思います。
(これはニュースソースがありませんが)
だとすれば、事態が悪化する前の初動時に電源復旧作業が行われていたら状況
は好転したかもしれません。
現に、同じような事態になりかけた福島第二原発では、政府資料によると、
11日20時に外部電源が確保され、その後、一時状況が悪化しましたが、最終的
には冷温停止状態を確保できています。

もちろん、電源が確保できても、各種機器が動く保証はないので事態が好転し
たかはわかりません。
ただ、今、より悪化した状態でその作業をやっているのを見るにつけ、
初動段階でこの手順が何故決まっていなかったのか、と残念に感じてしまいます。
(何らかの事情で、手をつけることができなかったのかもしれませんが)

電源を利用しない原子炉隔離時冷却系は震災と津波の時点ではまだ生きていて、
それが止まるとは想定していなかったのかもしれません。
(津波後、数時間動いていたことが報告されています)
また、ディーゼル発電機が全て起動しないことも想定していなかったのかもし
れません。

しかし、電源は根本となる問題事象だったと思われるので、万一を想定した
突き詰めたシナリオを作るべきではなかったのか、と思います。


同様のことは、格納容器からの放射性物質放出(ベント)の決断にも見られます。
実は、政府資料をみると原子力安全・保安院はすでに11日深夜の時点で、
次のような予測をしていることが分かります。

24:50 燃料溶融(12日0:50)
27:30 原子炉格納容器設計最高圧到達
   原子炉格納容器ベントにより放射性物質の放出(12日3:30)

これらはいずれも予測です。
しかし、残念ながらこの予測に従った対処はなされず、ベントが行われたのは
午前9時でした。

これは、管首相の視察のためにベントできなかった、いや、東京電力がベント
を止めたなど諸説ありますが、いずれにしてもリスク管理上、何を優先すべき
なのか明確になっていなかったことを、伺い知ることができます


(3)複数のリスク源に対する管理

最初は1号機だけでした。
しかし、その後ドミノ倒しのように3号機、2号機、ついには冷温停止と言われ
ていた4号機でも大問題が発生し、それぞれが致命的な問題を現在でも抱えて
いる状況です。

特に驚いたのは、最初は冷温停止状態と言われていた4号機です。
点検中で炉心には燃料がもう入っていないから問題ない、と言われていたと
記憶しています。
使用済み核燃料棒の温度が上がることをだれも予測していなかったのでしょうか?
写真で見る限りでは大変な惨状である上に、そこにある使用済み核燃料棒は、
現在も格納容器に覆われてすらいません。

3号機の使用済み核燃料棒も同じ状態だと思われますが、4号機の問題が発覚
するまでは発表がありませんでしたし、何か対処している様子もありませんで
した。

5、6号機は現在落ち着いた状況のようですが、そちらも一時温度が上昇し
危機的な状況間近になりました。

現場がパニックになっていたのは分かります。
しかし、指揮をすべき本部から、こうした問題をつぶすような指示が出なかっ
たのが不思議です。
全ての号機に対処できる、人や資材が足りなければ、一刻も早く送る必要があ
ったと思いますし、限られた人数でも何か対処をすべきだったように思います。
対処しなかったことがその後のさらなる作業悪化を招いています。
しかし前もって何か対策している形跡は、少なくとも報道からはほとんど見ら
れませんでした。

問題が出てきたら、慌てて火消しをするという様子は、われわれのソフト業界
での失敗プロジェクトの典型に見えます。
それが、リスク評価で兆の桁を越えるような原発で発生しているのは、およそ
現実離れしています。
恐らく、問題発生時(電源喪失時)の想定されるトラブルとその対処について
の明確なシナリオは整備されていなかったと思われます。


(4)様々なミス

リスクマネジメントを的確に行っていないために起こるミスが、色々な場面で
出てきていたように思われます。いくつか例を挙げます。

・2号機で水の注入作業中にポンプの燃料切れを起こしてしまった。
http://www.yomiuri.co.jp/science/news/20110314-OYT1T00843.htm
(読売新聞より)

・本店と福島第一原発との間の専用通信回線を誤って切断してしまった。
http://www.yomiuri.co.jp/national/news/20110317-OYT1T00291.htm
(読売新聞より)

・危機対応のため装備が不十分であった。
http://jp.wsj.com/Japan/Companies/node_213703
(ウォール・ストリート・ジャーナル日本語版より)

・情報伝達不足により、作業員が被ばくしてしまった。
http://sankei.jp.msn.com/politics/news/110326/plc11032617280006-n1.htm
(産経新聞より)

・放射性物質の取り違えによって測定値の公表をミスしてしまった。
http://www.yomiuri.co.jp/science/news/20110327-OYT1T00487.htm?from=y10
(読売新聞より)

ここはもう全てヒューマンエラーの世界で、もしかするとリスクマネジメント
以前の問題なのかもしれません。
ただ、これはほとんど情報系統の混乱で、リスクマネジメントの基本である関
係者への情報開示ないし指示ができていないのでは、という疑いが出てきます。

恐らくこの点は徐々に立て直されているものと思うのですが、ほとんどが
東京電力での問題であったことを考えると、恐らく東京電力内部でリスクマネ
ジメント組織が機能していないと推定できます。

こうしたことは、我々も日常的によるあるミスだと思いますが、人の生死にか
かわるような場面、例えば危険物を取り扱う場面などでこうしたミスが発生す
ることの怖さは、よく理解できると思います。
その意識が、希薄であったとすれば恐ろしいことです。


(5)損害賠償保険と制度設計

もう一つ、これは今回の事例ではなく、原発自体重大事故発生後のリスクマネ
ジメントという考え方が欠落していたのではないか、という疑問も提示させて
いただきます。

現在、「原子力損害賠償法」で定められている、損害保険会社との損害賠償額
の上限は1サイトあたり「1,200億円」のようです。

http://www.fepc.or.jp/present/safety/saigai/songaibaishou/index.html

つまり、それ以上は電力会社、最終的には国で補償するかどうか、ということ
になります。
「1,200億円」は重大事故の被害想定を50兆円とすれば、比較にならないほど
小さな金額です。(現時点までの福島原発の被害総額を考えても、金額ははる
かに小さいはずです)
しかし、損害保険会社ではそれ以上の金額が引き受けられないようなのです。

では、それに見合うだけの積立、引当金を東京電力、政府が準備しているかと
言えば、そうではなさそうです。
(最終的に国民負担ということが暗黙の了解になっているようです)

このことから分かるのは、補償金額上で言えば、重大事故を想定していない可
能性がある、ということです。
言い換えれば、「重大事故は起してはならない=起きない」という前提条件で
制度設計までしているのではないでしょうか。
今回、10mもの津波は想定外、という理由で対策がなされていなかったようです。
それと同じように、重大事故発生も想定外、となっていて、「重大事故が起こ
った時にどうするか」というリスクマネジメント上の重要用件が、欠落してい
るような気がしてならないのです。
(原子力関係の法律等に詳しいわけではありませんので、全く見当違いの推論
であれば申し訳ありません。)


(6)事故以前のリスクマネジメント上の問題点

最後にこれまで日常的に、福島第一原発(もしくは他の原発)に内在していた
のではないか、というリスクマネジメント上の問題点を指摘します。

先にも書きました通り、設計時にリスク評価を行ったり、その都度問題をカバ
ーできる改修工事など行っていたのは間違いないと思います。

しかし一方で、これだけリスク金額が大きな問題は、何か問題が起こるたびに、
リスクを再把握、再評価し、よりリスクを小さくするための日々の行動が欠か
せないはずです。
しかし報道を見る限りでは、十分であったとは思えません。
以下の情報をみると、細かなトラブルが何度も繰り返し発生しているのは間違
いありません。
その都度、再発防止策はとられていたのではとは思いますが、もっと徹底して
レビューし、対策を行っていれば、もしかすると今回の問題は避けられていた
かもしれません。


・本事故の直前に、多数の機器の点検漏れが見つかっています。
http://mytown.asahi.com/areanews/fukushima/TKY201102280471.html
(朝日新聞より)

・福島第一原発では老朽化のため、トラブルが頻発しているという報道があります。
http://jp.wsj.com/Japan/node_206736
(ウォール・ストリート・ジャーナル日本語版より)

・共産党吉井議員が津波被害により冷却水にトラブルが起こる問題を国会で
指摘していたようです。
http://www.toyokeizai.net/business/society/detail/AC/
fe2850f53fedccdefb3d90f747346430/
(東洋経済より)

・昨年、福島第一原発2号機では発電機トラブルのため水位低下したようです。
今回の事故を思わせるような電源喪失のトラブルです。
(15分間冷却機能が動かなかったという情報があります)
http://www.tepco.co.jp/cc/press/10061703-j.html
(東京電力プレスリリース)

その他、電気事業連合会のホームページを見ると、過去のトラブルが掲載され
ています。

http://www.fepc.or.jp/present/safety/past/index.html

事故発生件数をみると、確かに昔に比べると少なくなっているように見えますが、
それでも印象に残る大きな事故がこの10年余りの間に、何回も発生しています。


1999年
・東海村JOCの臨界事故
・志賀原発臨界事故

2004年
・美浜原発事故

2007年
・中越沖地震の際の柏崎刈羽原発のトラブル

そして、昨年8月、高速増殖炉、もんじゅでの装置落下事故があり、その問題
は現在でも解決していません。

事故が少なくなっても、決して事故がゼロになっているわけではありません。
むしろ事故の程度で言えば大きくなっている印象もあります。
そして、それらの事故が重大事故につながらなかったのは単に偶然の産物であ
ったかもしれないのです。
一方で過去のトラブルからリスクの把握に結び付ける動きは鈍かったと思われ
ます。

電気事業連合会のホームページにも記載していますが、
2002年に「東京電力による自主点検記録の不正問題」、
2006年に、「発電設備に関する過去のデータ改ざん問題」が発生しています。
にもか関わらず、上に記載した通り今年になって福島第一、第二原発での点検
漏れの問題は発生しています。

本稿をご覧の皆様はハインリッヒの法則をよくご存じだと思います。

「1つの重大事故の背後には29の軽微な事故があり、その背景には300の異常が
存在するというもの」です。(出典wikipedia)

今回の重大事故とそれ以前の情報を見て思うのは、原子力発電所でも、ハイン
リッヒの法則は例外ではなかったということです。
確かに、今回の事故は想定以上の自然災害が直接的な引き金になってはいます。
しかし、この事故はこれまでの細かなトラブル、事故が積み重なった延長線上
にあると思います。
福島第一が特別なのではなく、いつどこで、起こってもおかしくなかったこと
だと感じます。
そして、それはこれからも同様です。


以上(1)~(6)の情報から読み取れるのは、東京電力と政府が、
原発のリスクマネジメント、少なくとも事故が発生したら、という想定に対し
て驚くほど意識が低いのでは、という懸念です。

電気事業連合会のホームページには次のようなことも書かれています。

「「アクシデントマネジメント」とは、シビアアクシデントに至るおそれのあ
る事態が発生しても、それが拡大することを防止し、万が一シビアアクシデン
トに拡大した場合にも、その影響を緩和するための対策です。」

http://www.fepc.or.jp/present/safety/shikumi/accident_management/index.html

日本の原発でも「アクシデントマネジメント」を導入し、安全対策が進んでい
ると書かれているのです。
しかし、「アクシデントマネジメント」を導入しているとは言っても、
今回の事故を見る限りでは、それが実効的に運用されているとは言い難いと
思います。

もしかすると、日本の技術力、原発の安全性について絶対的な信頼を置いてい
るからなのかもしれません。

しかし、盲目的に信じることは問題の解決にはつながりません。
リスクの評価金額を考えると、会社を守り、国を守るために、原発のリスクマ
ネジメントは何よりも優先して取り組まなければいけない課題のように思います。
しかし、(6)の情報を見る限りではリスクに対する警告が発せられていても、
なぜか目をつぶっているようすら見えるのです。

結果論になってしまいますが、もしかすると、リスクマネジメント(ないし
アクシデントマネジメント)が適切に運用されていれば、このような事態に
至る前に収束できたのかもしれません。

今の事態がどのように落ち着くのかは全く不透明です。
被害額の算定すらできません。
震災の被害と合わせると少なくともその額は何十兆円ものレベルになり、
今後日本が大変な苦境に立たされることは間違いないと思います。

ただ、これからの復興は信じていきたいと思います。
原発については今のところ見守ることしかできませんが、色々な場面で日本に
いる皆が協力し合いながら、事態が一刻も早く良い方向に収束し、さらにこれ
を機に社会が大きく改善されることを心より期待しています。

今回は大変長文となってしまいました。
お読みいただいた方はありがとうございます。

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  2「北海道のうまいもん」(第38回) 
                   ~生ら'フロマージュ~
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今回は「生ら'フロマージュ」を紹介します。
読み方は「なまらふろまーじゅ」北海道弁の「なまら」と生チーズの「なま」
をかけて名づけられたチーズケーキです。

このコーナーでも過去に何度かチーズケーキを紹介させていただいていますが
昨年末に札幌市北区でオープンしたお店
「札幌チーズケーキ どるちぇ・ど・さんちょ」で人気の「生ら'フロマージュ」
はその名前と食感が絶妙です。

普段から「なまら」という言葉を使わない私にとって注文する時は少々恥ずか
しい気もしましたが売り場に並ぶ人の約8割のお客さんがこのチーズケーキを
注文する為、その場はわりとすんなりクリアできました。

箱に巻かれている帯ラベル?には
「低温でじゅわっと焼いた なま感覚 のチーズケーキ」と書かれていて・・・
食べてみるとその通り!切る段階からじゅわっという音が聞こえるのです。
味はクリームチーズの酸味が少なめでさっぱりとしていてます。

素材にもこだわり、牛乳は北海道砂川市岩瀬牧場の低温殺菌牛乳を、クリーム
チーズは北海道浜中町産を、小麦粉も北海道産を使用していて日本はでは珍し
い「低温焼成製法」を用いて素材のうまみが最大限に生かされて作られてる
新しいチーズケーキです。

私が今回購入したデパ地下では冷凍の状態で販売されていたので
「6時間解凍して下さい」と言われてしまいました。。。
すぐに食べられなかったのは少し残念でしたが自宅で待つこと6時間・・・
美味しくいただきましたのでご安心を!

WEB通販もあるようなのでいかがでしょうか?

「札幌チーズケーキ どるち ぇ・ど・さんちょ」
http://www.purin-honpo.com/



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  3.エコニティからのお知らせ
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■Windows7 64bit版の「点検管理の匠」について

先月ご連絡したWindows7 64bit版の「点検管理の匠」についてのインストー
ルトラブルに対応した「点検管理の匠」の新バージョンを近日リリースする準
備しております。
もし、64bitPCでトラブルがあった方は試用版も際配布しますので、
「新バージョン希望」と記載して、ご連絡ください。


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  4.編集後記
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東日本大震災と福島第一原発の問題は、本当に衝撃的で色々なことを考えさせ
られています。
私達が立脚している日常が実は非常にもろい土台の上になりたっているのでは
ないか、ということを強く感じるようになりました。
逆にそれだけ何も不安なく日常を送るということが、どんなに大切かというこ
とも思い知らされました。
そんな思いの中で、今回設備情報管理のポイントは前例にないほどの長文です、
書かずにはいられませんでした。
これからの日本、我々の生活がどのように変わっていくかはわかりませんが、
最初に書きました通り、自分達でできることを少しずつでも取り組みたいと思
います。


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■□エコニティについて■□

(有)エコニティは2000年に設立されました。
もともとソフトウェアの受託開発などを中心に業務をおこなっていましたが、
2003年頃から設備管理システムに取り組むようになりました。
当初は受託開発の一環としてソフト開発をおこない、その後設備保全のデータ
の作成などにも関わった経験もあります。そうした経験を生かし、2005年にパ
ッケージソフトとして「設備管理の匠」をまとめ、販売を開始しました。
お客様に使ってもらい、情報活用に貢献できるようなシステム作りを目指して
います!

URL:http://www.econity.co.jp

Mail:takumi@econity.co.jp

TEL:03-3865-1468

本メールマガジンが不要な場合には、下記メールまで「不要」の旨、ご連絡下
さい。お手数おかけいたしますがよろしくお願いいたします。

編集責任者:吉村

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